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お茶の水橋の都電錦町線遺構と保存会

東京のど真ん中、お茶の水橋の上には、明治後半から昭和戦前の都電(当時は市電)のレールが、これまで奇跡的に埋もれ残されてきました。しかし2019年に道路整備工事の告知看板が立てられ、10月にとうとう工事がスタート。一部のレール・枕木が撤去されました(当時のレポートはこちら)。

この大変貴重な鉄道遺構をぜひ調査し後世に伝えたいと、Facebook上で仲間と結成したのが「お茶の水橋都電レール保存会」です。

(2020年2月4日(火)追記)
テレビ朝日「グッド!モーニング」で保存会の活動が紹介されました。
お茶の水橋の都電遺構と保存会の活動を詳しくご紹介いただきました。

(2020年1月28日(火)追記)
本日と東京新聞朝刊及びWEB版に紹介記事が掲載されました。
2020/1/28 東京新聞朝刊(WEB版)
舗装の下に都電レール 東京・お茶の水橋 戦中に廃止、工事で地上に
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202001/CK2020012802000144.html

(2020年1月25日(土)追記)
保存会の公式HPが開設されました。
保存会の最新情報はこちらでご確認ください。
http://ochatoden.home.blog

1.錦町線とお茶の水橋
錦町線(にしきちょうせん)は、1904(明治37)年に東京電気鉄道が開業した外濠線がその前身です。このうち御茶ノ水・新常盤橋間がいつからか錦町線と呼称されるようになりました。下の地図の赤線部分が錦町線に該当します。のちに、御茶ノ水・錦町河岸の区間は往復運転をするようになりましたが、戦時中の1944(昭和19)年、不要不急路線として休止されました。
お茶の水橋は、今も丸ノ内線御茶ノ水と中央線御茶ノ水の両駅の間の神田川に架かる橋で、初代は1891(明治24)年に竣工。1905(明治38)年に外濠線(のちの錦町線)が延伸されこの上を渡るようになりました。現在のお茶の水橋は2代目で1931(昭和6)年の竣工。架け替え工事中は市電も橋を渡れず、御茶ノ水電停も一時的に橋の南側に移設されました。
レールや枕木が眠っていたのは、この2代目お茶の水橋です。

(1)地図 □内の数字は(3)の停留所(電停)の場所を示しています。
(2)年表 [ ]内の数字は(1)の地図上の場所を示しています。


(3)電停の推移 [ ]内の数字は(1)の地図上の場所を示しています。


2.現状

(1)レールの埋没推定箇所
赤い部分は、工事前にアスファルトの割れ目からレールが露出していた場所です。

(2)全体の構造
 (作成中)

(3)レール
車輪のフランジを逃がすための溝がついた、特殊なレールを使用しています。
建築事務所撮影

現地から掘り出されたこのレールは、刻まれたホールマークから、英ボルコウ・ボーン製で、その製造年は1930(昭和5)年、つまり、現在のお茶の水橋が架けられた1931(昭和06)年当時のものであることも判明しました。

2019年5月時点ではまだ地中に埋もれ、橋の北端でははがれたアスファルトからレールが頭をのぞかせていました。



いずれも2019年5月5日撮影

10月の工事でこの部分が掘り起こされレールが撤去されました。
2019年11月1日撮影

2019年11月8日撮影

(2020/1/14追記)地元の古書店店主より、工事直後の写真もご提供いただきました。ありがとうございます。まだレールが撤去される前の貴重な写真です。

この時点で掘り出されたのは、複線で4本あるうちの上の写真で写っている一番西側の1本で、赤白コーンの手前のアスファルトにもう1本、その向こうには残りの2本が埋もれている状況と思われます。

(2020年1月23日追記)
後述の3-(3)の②に当たるエリアの工事が始まり、アスファルトが剥がされました。そして予想通り・・・レールと敷石が出土しています。残念ながら戦前の貴重な遺構は「ティラミス斬り」の憂き目に(ToT)。それにしても美しい。いい仕事してますよねー。
(2020年1月23日 保存会メンバー撮影)

(4)枕木
ここは橋を北進したレールが左へカーブするところなので、枕木も橋や道路に対して斜めになっています。
2019年11月1日撮影

3.工事の予定

(1)工事の概要
現在の橋のコンクリート床板は2層に分かれ、鉄骨と同じ高さにある下層部分は鉄筋コンクリートですが、上層部には鉄筋が入っていません。ここを鉄筋化して橋の耐震強度を上げること、および歩行者で込み合い車椅子の通行が困難な東側の歩道を拡張することが主な目的です。

(2)工期:令和7年3月31日終了予定
千代田区のお話では、橋の下のJR線が終電後でかつ送電が止まっている時間、すなわち1か月の半分、しかも1晩あたり2時間程度しか工事ができないため、そこで時間を要するそうです。

(3)工程
全体を12の区域に分け、順番に工事が進められる予定です。2020年1月23日現在、①の部分の工事は終了し、②のエリアの工事に進んでいます。

4.保存会の活動状況
お茶の水橋都電レール保存会」は、本遺構を紹介した当サイトの記事を起点として、Facebook上で意気投合した3名でスタート。現在は工事を所管する千代田区環境まちづくり部道路公園課維持担当係とともに、本遺構の保存方法について検討を進めています。具体的には以下のような案が出ています(正式に決まったものではありません)。

(1)研究目的での有識者への寄贈
2019年12月、工事の過程で十数センチに切断されたレールを学術研究目的との前提で千代田区より受領し、京都鉄道博物館の島崇氏、(一財)産業遺産国民会議研究員・産業考古学会理事の小西伸彦氏に寄贈しました。今後も他の有識者への寄贈を予定しています。

(2)展示目的での博物館への寄贈
前述の通り京都鉄道博物館のほか、小西氏に寄贈したレールは岡山シティミュージアムへ寄贈されます。同ミュージアムでは夏に展示を予定していると伺っています。詳細が分かればこちらでも案内します。他の博物館への寄贈も検討中です。

(3)モニュメントとしてのお茶の水橋周辺への設置
具体的な形態や場所は未定ですが、出土したレール・枕木・敷石等を何らかのモニュメントの形で現場周辺に残すことを検討しています。

(4)保存都電車両の展示のための利用
さまざまな箇所で都電の車両や台車が保存されていますが、これらを展示する際に使用するレールとして活用することを、その可否(強度等)を含め検討中です。

保存会の公式ホームページ、Twitter、Facebook、メールアドレスは以下の通りです。
【公式ホームページ】http://ochatoden.home.blog
【Twitter】http://twitter.com/ochatoden
【Facebook】http://www.facebook.com/groups/nishikichosen
【メールアドレス】ochatoden@gmail.com

5.Special Thanks
当ページは、以下の方々からいただいたご助言や情報を参考に作成しています。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
・笹目史郎氏(新潮社「日本鉄道旅行地図帳5東京」の都電停車場一覧作成を担当)
・千代田区環境まちづくり部道路公園課維持担当係のみなさま
・東京電車道のみなさま
・島崇氏(京都鉄道博物館)
・小西伸彦先生((一財)産業遺産国民会議客員研究員、産業考古学会理事)
・お茶の水橋都電レール保存会のみなさま